座談会に登壇:生理用品の広告のジェンダー表象について語る

「私たちの生理の課題についてもっと知ろう」limerime主催「MHM(月経衛生対処)座談会」

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MHM(月経衛生対処)座談会:多文化背景の学生と専門家が語る生理の課題と未来

2023年6月27日、サニタリーブランドlimerime主催「MHM(月経衛生対処)座談会」

Ad-Lampの中村梨華が、竹の繊維を表面材に用いたプラスチックフリー&生分解性のサニタリーブランドlimerime(ライムライム)の女性のエンパワーメントイベント「MHM座談会」に登壇しました。

日本と海外の過去と現在の生理用品の広告表象を分析し、議論を行いました。

 

■「生理を明るく、優しく、幸せに見せない」イギリスのテレビCM
多様な人種や体形の女性たちが登場した生理の実態が描かれる広告(イギリスの下着ブランドModibodiによるテレビCM )

「2010年頃まで、日本の生理用品の広告は“幸せの朝”などの言葉と共に笑顔の女性を演出していました。ふわっとした羽やパステルカラーなどを使い、ハッピーさを表現させたものが多かった。ところが、海外ではそのころから明るさを排除して、生理の苦しさやその実態を隠さず、“リアル”を映し出した表象がすでにあったようです」

 

 

イギリスと韓国のCMに登場する女性像の変化についての分析

「過去の生理のテレビCMに見る明るく優しい女性像は、当時の社会が女性に期待する役割を映しだしていたんだと思います。ジェンダーロールですよね。過去10年でジェンダー平等が進むにつれ、女性の表象がもっとリアルに変化したのではないでしょうか。生理の重い人が明るく優しいCMを見て、気分が晴れればそれでよいと思います。しかし、ジェンダー意識が向上される中、女性像を見せるCMばかりだったので、それが“押しつけられた”と女性が感じるようになってきたのだと思います。」

「“生理中でも明るく可愛い女性”ではない女性像が世界各国の生理の表象に表れてきました。しかしアジア諸国の広告を見ると、欧米のものよりも、モデルや芸能人を起用したものが多いです。欧米は20年前からルッキズムを意識し、普通の女性をサニタリー用品の広告に起用してきました。メディアに映る生理や女性の表象は、社会のロールモデルやテンプレートになります。メーカーさんやメディアは、よりよい方向へ社会をけん引する力をもっていると思います」

 

■「男性が登場する」台湾のCM
台湾のCMには若いカップルが登場し、生理中の彼女の肩を抱こうとする男性が女性の憂鬱そうな顔を見て、スキンシップを止めて彼女のために生理用品などをドラッグストアに買いに行くストーリーです。

 

「生理を隠そうとする女性に男性がしつこく聞いてくる、生理の時の女性の”取り扱い方法”を上から教える、生理の時に彼女に優しくできない男性など、女性の主体性を尊重しなかったり、不快感を起こしたりする内容は良くない。女性の自己決定権を優先する限り、男性が広告に登場してもしなくてもどちらでもよいと思います」