ELLE ActiveでイギリスのTowards Change市民広告展が紹介されました!

炎上広告を題材にクリエイティブに社会課題と向き合う

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女性雑誌ELLE JapanのELLE ActiveでイギリスのTowards Change市民広告展が紹介されました!

6月28日発売のELLE Japan8月号に掲載されました。イギリスと日本の炎上や、ワークショップ、広告倫理のシステムについてふれています。

今回は炎上広告を題材にクリエイティブに社会課題と向き合うワークショップを開催する中村ホールデン梨華さんをご紹介! 『エル・ジャポン』2024年8月号より。

BY YURICO YOSHINO公開日:2024/07/20

RIKA HOLDEN NAKAMURA

なかむらほーるでんりか●広告コンサルタントを経て留学。ブリストル大学大学院修士課程在学中。SNSにて「広告炎上チェッカー」(@Enjocheck)として活動する。広告倫理に関する講演やワークショップを行い100以上の広告を分析。ブリストルで今年5月、「市民広告Towards Change展」を開催した。

RIKA HOLDEN NAKAMURA

代理店の担当者やジェンダーの学者を招いたイベントのスピーカーセッション。

何げなく目にする広告に、性別役割を強制されるような苦しさを感じることはないだろうか。一方でそうした広告がネット上でつるし上げられる騒動も起きる。消費者にとって、社会にとって、広告主にとっていい広告とはなんだろう? そんな課題と向き合うため「広告炎上チェッカー」として活動しているのが中村ホールデン梨華さん。今年5月には留学先のブリストルで、炎上広告事例とその代案を展示するイベントを開催した。

大学卒業後、外資系調査会社で広告コンサルタントとして経験を積んだ。「どんな広告が“面白いか”“売れるか”という視点で分析する仕事でした。一方で広告は“見えない教育”ともいわれ、ステレオタイプや社会通念を作る力があります。私自身、広告倫理の論文を書いていましたが、それをクライアントに伝えられる立場にありませんでした。言うべきことと求められることのギャップに悩みました」

そこで一度仕事を離れ、広告倫理について学ぶため英国へ。「イギリスは広告審査機関による広告倫理のガイドラインがあり、多くの広告が禁止対象になってきた実績があるからです。そこで多くのものを学び日本に持ち帰りたいと思いました」。留学すると早速、炎上広告を検証し代案を作るワークショップを開始した。

「イギリスは消費者の意識が高く、差別広告に敏感です。一方炎上しやすいのは日本。広告倫理に対する審査機関がないためネットが発言先になりやすく、また基準がないだけに議論になりやすいのでしょう」。炎上させる側にも問題があるのではないかと思われるが、中村さんは炎上のポジティブな面に注目している。「日本では意見=非難と捉えられがちですが、そこで口を閉ざすのではなく、健全な議論がなされるべきだと思います」

炎上は未来を照らす光。上げた声が社会を変える

RIKA HOLDEN NAKAMURA

ピンクリボンの広告の代案。オリジナルは「検診に行かない理由の誤認」「女性を見下している印象」などが感じられたが、ターゲット女性が共感できるシーンへと改善した提案がこちら。

ワークショップを経てイギリスで開催したイベントは広告関係者から高い評価を得た。「ダメ出しだけでなく、具体的な代案を出すというクリエイティブな解決策だったこと、また一般市民から社会活動家、広告主、専門家など多様な人を巻き込んだことも評価していただきました」。協賛企業には炎上広告の関連企業も含まれる。「過去に差別的な広告を出した企業が積極的に広告の向上に努めています。日本では炎上=消せない汚点という印象がありますが、イギリスでは過ちから学ぼうという姿勢がありますね」

帰国後は日本の広告業界や炎上文化に変化をもたらしたい、と中村さん。「日本でも展覧会の開催、出版や市民による広告賞作り、そして新たな広告ルールの構築に取り組みたい。広告表現にも倫理にも正解はありません。そのなかで、思想と思考のシェアができる社会を育みたいと思います」

 

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